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2023年JET Streams冬号

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JET Streams

 
 

第55号(2023年冬号)


冬号へようこそ

自治体国際化協会(CLAIR)JETプログラム事業部

いつもJET Streamsを読んでいただきありがとうございます。JETプログラム事業部です。東京では心地よい冬晴れの日々が続いていますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

今号では、JETAAの新会長と副会長からのご挨拶や、今年は1,800人以上が参加した毎年恒例のJETAA UK の夏祭りイベントに関する記事をお届けします。さらに、JETとJETAAのコミュニティーを結ぶために努力しているJET経験者の記事や、1990年代にJETプログラムで出会った両親の意思を継ぎ、現在ALTとして活躍するJETの感動的なストーリーも紹介します。

JET Streamsでは、記事を書いていただける方をいつでも募集しています。記事の提出の方法など詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。春号への提出の締め切りは2024年3月1日(金)です。

最後に、JET Streamsの向上のため、簡単なアンケートにご協力ください。質問はたった4つです。皆様の貴重なご意見がJET Streamsを向上させる重要な要素となります。

アンケートはこちら

ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、本年もよろしくお願い申し上げます。

JET動画コンテスト

自治体国際化協会(CLAIR)JETプログラム事業部

JET経験者と現役JET参加者を対象に、5分以内の自作のショート動画作品を募集します。応募作品は、日本での経験をもとに、以下の四字熟語のうち一つと紐づけてください。

JET Video Contest Logo

一期
いちご
一会
いちえ

(人生で一回の機会)
一生
いっしょう
懸命
けんめい

(真剣に物事に取り組む)
花鳥
かちょう
風月
ふうげつ

(自然の美しい風景)

募集期間は2024年1月17日までです。特に優れた作品の制作者には、2024年夏に東京で開催する授賞式に出席するための旅費、宿泊費と賞品を贈呈します。

JET動画コンテストの詳細については、JETプログラムのウェブサイトをご覧ください。

この動画コンテストは内閣府(クールジャパン)、国際交流基金(JF)及び日本政府観光局(JNTO)に後援されています。

JET Video Contest Flyer

希望の光

JETAA-Iの新会長・副会長からの挨拶

JET経験者の皆様、こんにちは!

JETAA-Iの明るい最新情報をお届けします。新型コロナウイルス感染症から解放された今期は、私たちにとって新たなスタートとなりました。コロナはJETAA-Iすべての支部に大きな影響を与え、非常に厳しい状況となりました。絶え間なく変化する集会の制限、減少する帰国者の数、そして新しいリーダーの関心の低下など、数々の課題に直面してきました。これらは過去数年間で私たち全員に投げかけられた試練であり、今日でもその影響を感じています。

「じゃあ、明るい最新情報って何?」と、疑問に思われているでしょうか。お待たせしました、そのような状況下で、私たちが見つけたダイヤモンドの原石をご紹介します。

  • 世界中のJETAA支部リーダーが示した献身的な努力…コロナの影響で、全てではありませんが、自分たちでクリエイティブに考えて物事を成し遂げる必要がありました。
  • オンライン会議プラットフォームの統合と、ハイブリッドイベントの創出…コロナによる制約が多く互いが孤立しがちな中、バーチャルイベントを行うことで、各支部が連絡を取り合うことができました。
  • 困難な時期に復活し、さらには成長した支部も存在します。例えば、JETAAインドは数々のバーチャルイベントによる復活を果たし、最近では大学のキャンパスで2日間にわたる文化イベントを共催しました。
  • 7月以降、全国・地域レベルでの4回の会議が開催され、成功を収めました。北米で行われた2つの大会(カナダ大会と米国全国大会)では、ハイブリッド要素が導入されました。
  • 新しい支部とJETAA-Iの新会員が誕生しました。多くの地域で会員数が減少する中、スイスとベトナムに新しい支部が誕生しました。また、JETAAフィリピンは加盟申請書を提出し、10月にJETAA-I正会員として正式に承認されました。JETAAフィリピンの成長に拍手!

Picture of CLAIR Singapore
■ 8月22日~23日にシンガポールで開催されたASEAN及びインドの2023年JETAA ネットワーキング会議 (クレアシンガポール事務所主催)
写真の出典:JETAAシンガポールFacebook
Picture of JETAA Ottawa
■ オタワで開催された2023年Canada Conference(JETAAオタワ主催)
大使公邸でのレセプション
Picture of JETAA Norcal
■ モントレーベイで開催された2023年National Conference(JETAA北カリフォルニア支部主催)
代表者と新任期満了者 外務省レセプションにて
写真の出典:サンフランシスコ日本国総領事館Facebook
※サンフランシスコ日本国総領事館の許可を得て利用しています
Picture of JETAA Norcal
■ レセプション後の集合写真
Picture of Oceana Conference
■ メルボルンで10月27~29日開催の2023年OCEANIA CONFERENCE(JETAA VIC/TAS/SA)
代表者ら 歓迎レセプションにて
Picture of Oceana Conference
■ JETAAの各国代表者

この機会に、KenJETkaiJET動画コンテストなどのJETAA-Iの取り組みに賛同し、サポートしてくれたクレアに深く感謝申し上げます。また、JET Streamsを読み終えたら、各KenJETkaiグループをチェックしましょう。そして、映像制作に挑戦してJET動画コンテストに参加してみましょう!映像の勉強したことがでなくても、日本への情熱を持っている方であれば誰でも応募可能です。JET経験者も参加資格があり、日本への旅行を手にすることができるかもしれません!

話がそれましたが、JETAAインターナショナルは、ウェブマスターやアドバイザーと協力して、希望と生産の灯を絶やさず活動しています。3~4ヶ月に一度、各国代表とのオンラインミーティングを開催し、各支部や他の支部で起きていることを常に把握しています。また、内部のツールキット(テンプレート、記録管理、手順の文書化、その他入門に役立つ情報など)を作成し、改良しています。

革新的であり、インスピレーションを受け、仲間や支部のサポートのもと素晴らしいことを成し遂げることができるJET参加者やJETAA、そしてJETAA支部の方々とのコラボレーションを楽しみにしています!質問やアイデアがありましたら、お気軽にご連絡ください。

JETAA-I代表ローレンス&タイ

追伸 是非動画コンテストのために動画を制作し、賞を勝ち取り、スターになりましょう!

Laurence Inniss

プロフィール

会長ローレンス・イニス
ALT経験者
長崎県

長崎県で5年間JETに参加したローレンス・イニスと申します。日本滞在中は、日本文化の様々な側面を体験し、日本を含む世界各国からの友人を作ることができました。帰国後、JETAAトリニダード・トバゴ支部を立ち上げ、国内のリーダーとして数年活動しました。JETAA-Iの副会長を経て、現在は会長を務めています。

Tai Lam

プロフィール

副会長タイ・ラム
ALT経験者
佐賀県

タイと申します。2年間にわたり佐賀県でALTとしての経験を積み、その間には地域で最大の祭りである唐津くんちの魅力に触れることができました。JET卒業後は、子供の頃からの夢であったドラゴンボートチームへの参加を通じて、JET卒業生のコミュニティーに深く関わるようになりました。
さらに、JETAABC(JETAAのブリティッシュコロンビア・ユーコンの支部)の理事会に参加し、会長などの様々な役職を務めました。コロナの影響を受けつつも、JETAAカナダ代表を2期務めたのち、JETAA-I副会長に就任しました。これまでの経験を通じて、異なる地域と文化を繋げ、JETAAのコミュニティーをより良くするために尽力しています。

JETAA UKの夏祭りが3周年を迎えました
 

2021年の初めから、イギリスの夏祭りはますます盛り上がりを見せ、今年はイギリス全土で開催されたイベントに2000人以上が集結しました。この意欲的なプロジェクトは、コロナ禍を経て、より多くの人々が対面で参加できるイベントへの参加を促進する手段を模索するJETAA UKの理事会によって2021年に立案されました。JETAA UKは、他の非営利団体との協力を通じて、Japan Society North West (英国北西部日英協会)などと提携し、大規模なイベントを成功裏に収めました。

The event is growing in popularity every year
■ イベントは毎年人気が高まっています。

夏祭りは、JET参加者が日本滞在中に楽しむ中でもっとも思い出深い行事の一つです。お祭りの魅力と雰囲気を英国で味わうことは、JET経験者にとって本当に楽しく、懐かしいものです。そのなかでも、最大のイベントは北西部のタットン・パークでの開催でした。タットン・パークは英国で最も古く、本格的な日本庭園がある美しい場所として知られています。

Kendo was one of the many cultural practices that was showcased at the event
■ 剣道はイベントで披露された多くの文化紹介の一つでした。

夏祭りは複数の場所で開催されましたが、北西部支部の責任者であるサム・ローゼンは、次のように語りました。

「2023年の祭りが夏にタットン・パークで開催され、ご協力、ご参加いただいた皆さまに、心よりお礼申し上げます。今年の祭りは、事前準備に何カ月もかかり、膨大な書類を作成する必要があるなど、かなり大変なものでした。」

An amazing performance by the Tengu Taiko troupe
■ 「Tengu Taiko団」の素晴らしいパフォーマンス

当日は約1,800人が来場し、英国と日本文化をPRする素晴らしい機会となりました。JETAA UK 北西支部、Japan Society North West、タットン・パーク、日本庭園協会、名誉領事館、在英国日本大使館、北西部イングランド日本企業会など、100名を超える参加者とボランティアが集まりました。

イベントでは、地元企業による日本食や飲み物の販売、大人気の和太鼓奏者によるエンターテイメント、琴や演歌の演奏、居合道や合気道のデモンストレーション、折り紙や書道、日本のおもちゃやゲーム、日本の着物についてのトーク、そして日本庭園のツアーなどが行われました。

イベント当日は時折くもりになったり小雨がぱらついたりしたものの、素晴らしい天気に恵まれました。皆さまの努力と献身に加え、好天にも恵まれたことが大成功につながったことは間違いありません。

今年はJETAAスコットランド支部もこのイベントに参加し、ハイランド地方の隠れた名所である驚くほど美しいカウデン城日本庭園でイベントを開催しました。この場所は、テレビでも必ず訪れるべき場所として紹介されています。

Thankfully the weather held up for the Scotland meet up
■ スコットランドでのイベント当日は晴天に恵まれました。

スコットランド支部のゼル会長は、このイベントについて次のように述べました。

「素晴らしい結果でした!スコットランドでは長らく待ち望まれているイベントでした。ボランティアと参加者の尽力は本当に素晴らしかったです。」

JETAA UKの祭りは今後も続く予定で、年を追うごとに規模が拡大し、より良くなっていくでしょう。来年夏にも、英国で開催される予定です。具体的な開催日程については、JETAA UKのウェブサイトを随時チェックしていただければと思います。詳細な情報はこちらからご確認いただけます。

Jess

プロフィール

ジェス ブリンコウ
ALT経験者
山口県

ジェスは2020年からJETAAに参加し、2022年に国際委員会に加わりました。彼女は2016年から2018年まで山口県でJETプログラムに参加し、ALTとして中学・高校での教育に携わりました。英国に戻ってからは、2020年に修士課程を修了し、昨年11月にはJETAA国際会議に出席するなど、国際関係のスキルを強化しています。余暇には読書をすることが好きで、特に川口俊和の小説「喫茶店」に魅了されています。

新たなパンデミックの時代における再連携

MEF、JETAA及びAJETの絆を深めること

コロナの流行は、日本の厳格な水際対策を含むさまざまな措置から、JETのコミュニティーに多岐にわたる影響を与えました。JET参加者は、文化祭などの学校行事が中止され、地域のコミュニティーとの強固なつながりを築くことが難しくなりました。パンデミックによる孤立は、JETプログラム関係団体にも波及し、AJETの全国の役員やブロック代表の数が減少しています。同様に、世界中のJETAA支部も、新しいボランティアが会長などの役職を引き受けることが難しい課題に直面しています。

日本国内を自由に行き来できないことは精神的につらいこともありましたが、パンデミック期間中に私の息抜きとなったのはボランティア活動でした。私は約2年間、大阪・神戸総領事だったリチャード・メイ氏、MEFの同窓生であるティム・クック氏、キャシー・ヤマネ氏、ナンシー・ボールドウィン氏、オースティン・ムーア氏とともに、文部科学省イングリッシュ・フェロー(MEF)の同窓会企画委員会の委員を務めました。


■ 文部科学省英語フェロー同窓会がリチャード・メイ米国総領事公邸で開催(11月2022年)

当初、2021年3月に予定されていた同窓会は、継続的な水際対策のために何度も延期されましたが、協力してMEFのフェイスブックグループのメンバーを144人まで増やし、その間にズームアップ集会を開催することができました。そして、2022年11月、ついに40人の同窓生とゲストを同窓会に迎えることができました。

MEFの同窓会に参加したのは、JETプログラムの設立を可能にしてくれた大先輩に感謝するためでした。また、メイ総領事が関西に在任中、管轄の府県でJET支援活動をしてくれたことに感謝するためでもありました。メイ総領事は姫路城、島根、徳島、愛媛、石川を訪れ、現役のJET参加者やOBに会う時間を作ってくれました。2022年8月には、神戸で開催されたJET同窓会西日本支部主催のネットワーキングランチに主賓として参加しました。クレアのJETプログラム・コーディネーターなどの職員、AJET全国役員も参加しました。MEFの卒業生であるオースティン・ムーアさんは、MEFを卒業後、CLAIRに雇われ、最初のJET参加者を募集し、昼食会の参加者にいくつかの興味深いエピソードを披露しました。

メイ総領事はJETのボランティア活動についての考えを次のように述べました。「日本での経験は、私たちのキャリアの初期に形成され、その後の人生に影響を与えてきました。その中には、日本での活動や、放課後のイベントでのボランティアも含まれています。このような助け合いや恩返しの精神は、私たちのMEF-JETの経験の試金石であり、特に困難な時期に、多くの経験者が助け合いやボランティアを続けてくれたことを嬉しく思います。」


■ JETAA西日本リチャード・メイ総領事感謝昼食会(8月2022年)

パンデミックのすべてが否定的だったわけではありません。神戸日米協会はZoomを通じて高校英語暗唱コンテストを主催し続け、私は元神戸国際交流員でワシントン州日米協会(JASSW)の元会長であるJET経験者のカリン・ゾーグ・ブラックさんを通じてJASSWとつながりを持つことができました。AJET全国会長のスペンサー・スティーブンス氏が言うように、「パンデミック後の状況下で人間関係を再構築するには、鋭い適応感覚が必要です。JETプログラムの世代間ギャップのためにつながりを失ったかもしれませんが、私たちは嵐を乗り切った企業からインスピレーションを得ています。成功するためには、環境の変化に適応し、イノベーションを受け入れなければなりません。」

現在、スペンサーさんと協力して、外国人観光客に対して観光をより魅力的にアピールする方法を模索している様々な団体と、現在のJET参加者を結びつける活動を進めています。AJETの第6ブロック(兵庫、京都、滋賀)代表であるマイケル・マッキンリーが、英語を話す日本語ツアーガイドを支援するプロジェクトについてメッセージを投稿した時、兵庫のJET参加者からすぐに反応があり、これは非常に嬉しいことでした。また、大分県宇佐市では体験型ファームステイのモニターを募集しているプロジェクトもあります。

JET参加者が地域社会と交流し、JET後のキャリアの扉を開くことができ、AJETやJETAAの活動に興味を持つきっかけとなれば素晴らしいことです。

Rose

プロフィール

ローズ タナスガーン
ALT経験者
島根県江津市

ローズは、島根県江津市で任務完了後(1990-1993)、島根県浜田市でもう一度任務(2003-2006)を遂行し、終了後にJETプログラムに再び参加する経験者の最初の1人となりました。長らくJETAA西日本の役員を務め、現在はJETAA国際協会の日本代表を務めています。

家族の出来事
 

1989年の8月上旬、ある蒸し暑い夜中に成田空港に到着した私たちカナダからのALTは、長旅で眠い目をこすりながらバスに乗り込み、次の数日間の滞在先となる街の中心部のホテルへと向かいました。オタワ出身の私は、日本と海外との言語と文化の懸け橋となるべく設立された、まだ新しいこの交流プログラムに選ばれた、幸運な数少ない参加者の一人でした。


■ ダロッチとリサ(1990年8月)

オリエンテーションが終わると、私と香川県のALTたちは飛行機で高松に向かいました。これが、人生を変える冒険の始まりでした。私は坂出市の9校と隣の丸亀市の2校、合計11の中学校で日本人英語教員のサポートをすることになりました。そのうち5つの学校は、当時完成したばかりだった瀬戸大橋の下にある小さな島にありました。私たちのALTグループは結束が固く、週末によく集まって親睦を深めたり、地方を旅行したりしました。そんな中、ルイジアナ出身のALTがひときわ私の目を引きました。前年に着任していたリサでした。私たちは休みの日によく学校やグループのイベントを訪問していました。秋に親しくなり、冬の終わりから半年で交際を始め、(徳島のブルーグラスフェスティバルで)婚約し、私が香川での1年間を終えたときに結婚しました。私たちの中学校ALTとしての生活は翌年の夏に終わりを告げましたが、私たちの変化に富んだ経験は、香川という地域とそこに暮らす人々に対する深い愛着を生みました。

ハネムーンを終えて再びオタワに戻り、短期間滞在した後、トロントに引っ越し、私たちは私立の語学学校で教師としてのキャリアを再開しました。それから約7年後、2人の娘を連れてニューオーリンズにまた引っ越しをしました。リサは教育業界での仕事を続け、私は海運業の仕事に就きました。仕事には満足していましたが、船の乗組員たちと接するうちに、留学生との交流が恋しいと思うようになりました。2003年、私は地元の短期大学のアカデミックESL(第二言語としての英語)プログラムで教職に復帰しました。2人の娘には、成長に合わせて、地元の国際的なコミュニティーのイベントにできる限り参加させるように努めました。

2016年の夏、リサはミシガン州北部の大学で管理職に就き、次女のエリザベス・ダナとともに北部へ向かいました。私も退職の1年後に彼女らの後を追いました。長女のケイトは住んでいた街での生活にこだわり、そのまま残りました。国際関係学を専攻していたダナの大学生活が終わりに近づき、次のステップについて検討していたところ、私たちはダナにJETプログラムへの応募を勧めました。

2020年の春、卒業を2ヶ月後に控えたダナは、コロナが世界中で猛威を振るい、テキサスの大学のキャンパスがあっという間に空っぽになる中、新天地テキサスに到着しました。JETプログラムの合格発表を待つ間、この世界的な医療危機の中ですでに募っていた不安は、彼女の中でさらに大きくなっていきました。


■ ダナとダロッチとリサ 新幹線にて

本来であれば、2020年の春の終わりごろにはダナはJETに選ばれて、その年の8月に出発して新潟県に向かう予定でした。しかし、入国が制限されたため、彼女の出発日はその年の秋、冬、2021年の春、夏へと延期されていきました。そしてついに、2021年11月中旬がその時だという知らせが届きました。ミシガン州から東京に飛んだダナは、2週間の隔離生活をしながら個室でリモートでのオリエンテーションを受けなければなりませんでしたが、人生の新章への意欲は少しも衰えることはありませんでした。ダナは新潟に到着してすぐ、村上市に着任しました。週に3日は中学校で、残りの2日は小学校で教鞭をとりながら、ダナは両親と同じくJETの生活を謳歌(おうか)しています。来日から3年近くたった今でも、彼女はその選択を後悔することはありません。

リサと私は、2022年秋の日本への凱旋帰国を張り切って計画していました。しかし、健康上の理由でその計画を一時中断せざるを得ませんでした。2023年5月、私たちは思い切って航空券を購入しました。そして2023年9月に、ついに32年ぶりに東京・羽田に降り立ち、ダナと合流するために新潟に向かいました。新潟は四国とはやや異なり、またテキサス州南東部の平坦な地形とも打って変わって山が多い印象でした。今回の旅のハイライトは、ダナの中学3年生の生徒らと過ごした2日間の朝でした。リサと私を使って生徒たちに「本物」の英語を教えたいという日本人の先生の発案によって、生徒らは私たちのために市内観光ツアーを考えてくれました。2つのクラスがそれぞれ私たちを連れて案内する場所を選び、リサーチをしてくれたのです。初日の朝、職員室に入ると、ALTだったころの記憶がよみがえってきました。学校について説明を受けた後、生徒たちと町へ向かいました。村上市の特産品である麺類やお茶、日本酒や鮭を扱う家族経営の店を見せてもらったほか、畳作りや醤油作り、田んぼいっぱいの米作りなど、何百年も続く伝統的な産業も紹介してもらい、最後は村上城跡への登山で締めくくられました。翌日は、2つ目のクラスの生徒たちと、鮭の博物館を含む村上市のスポットをさらに訪ねました。どちらも自分たちだけでは思いつかないような素晴らしいプランでした。


■ 村上市の安善寺

生徒たちと一緒にいた2日間は、香川にいたころに戻ったようで嬉しい気分になりました。生徒たちは、私の香川の教え子たちと変わりありませんでした。教室の外でも彼らの熱意は伝わってきましたし、「自分たちの」町を見せようと努力している姿は印象的でした。生徒たちは皆、村上市に誇りを持っており、彼らとの交流は、私たちの個人的な旅行をより充実したものにしてくれました。元JET参加者であり、生涯教育者である私たちは、語学指導者としての立場にすんなりと戻ることができましたし、生徒たちは勇気をもって応えてくれました。彼らと私たちの心温まる交流は、35年の時を経て、この文化交流が成功している証です。

E. Darroch Watson

プロフィール

E.ダロッチ・ワトソン
ALT経験者
香川県

E.ダロッチ・ワトソンは、カナダのオタワ出身で、1989年から1991年まで香川県でALTとして勤務しました。1990年、ダロッチは1988年から1991年まで同じく香川県でALTを務めていたルイジアナ州出身のリサ・M・ケラーと結婚しました。日本を離れた後、二人は1998年までカナダのトロントでESLに従事し、その間二人の娘が生まれました。その後二人はルイジアナ州に移り、教育界でのキャリアを続けました。ダロッチは海運業に一時的に回り道をし、コミュニティー・カレッジ・レベルのアカデミックESLに戻りました。 リサは数年前に教壇を離れ、現在はテキサス州ヒューストンの南東にあるコミュニティー・カレッジで副学長を務めています。末娘のエリザベス・ダナは両親の後を追ってJETに参加し、現在は新潟県村上市でALTとして3年目を迎えています。

JET Streamsの記事を募集しています

自治体国際化協会(CLAIR)JETプログラム事業部

JET経験者向けのニュースレター「JET Streams」では、JETプログラムでの生活や、プログラム終了後でも、その経験が与え続ける影響をテーマにした記事をご提供しています。CLAIR、世界各地の元JET参加者の会(JETAA)支部、JETAAインターナショナル(JETAA-I)はJET Streamsでそれぞれの活動を世界中に発信しています。また、個人のJET経験者からはエッセイ、記事、写真、就職活動で活かしたJETでの経験などをテーマに様々な内容の記事を執筆いただいています。JET経験者ならどなたでも記事の提出が可能です。幅広いテーマの記事の応募をお待ちしています。JET経験者にご提出いただく記事は、JETプログラム事業部のスタッフが編集に関するアドバイスや翻訳いたします。執筆ガイドラインはこちらからご確認いただけます。

JET Streams2024年春号の提出締め切りは3月1日(金)です。是非、挑戦してみてください。お待ちしております!

JET Streamsのアンケート

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