MENU

JET終了後の進学:「教師の立場から学生へ 大学院に進学するかどうかの決断について」

  • HOME »
  • JET終了後の進学:「教師の立場から学生へ 大学院に進学するかどうかの決断について」
教師の立場から学生へ 大学院に進学するかどうかの決断について

リーア・ジョイ・ゴーロン、元埼玉県ALT、1990-1991
ミドルベリー国際大学院モントレー校(アメリカ、カリフォルニア州)
校友会担当

 

leah-gowron-2016aJETプログラムの任期満了前の数か月間は「次は何?」と悩んでいるJET参加者がほとんどです。慣れているライフスタイルから離れること、日本国内の移動、帰国すること、新しい国へ移転すること、JET終了後すぐに他の仕事に就けず所得がなくなること等はJETプログラムを終了するにあたり皆が共感する関心事です。

 この問題に対して、日本で経験したことをベースに文化・言語・歴史などの視点から深く研究したいと思って、大学院に進学すると決めるJET参加者がいます。教えること及び日本語ができることやマネジメントの経験をとおして、自分は新しいキャリアの道筋を発見したのか。JET参加者として働いた期間は大学で成し遂げた学問と結果的に同じ勉強を続けることとの間の休憩期間だったのか。すべての質問にあてはまるような答えはありませんが、大学院に進学することはJETプログラム終了後の「次は何?」という質問に対しての一つの答えです。

 こういった分析の真の目的は、時間とエネルギーを最大限有意義に使って次の二つのことを確認することです。一つ目は、進学する理由は現実的な決断に基づいていることであるかどうか。二つ目は、受講したいプログラムあるいは進学したい大学に説得力のある願書を出すためには自分のJETの経験を十分理解する必要があるということです。

大学院へ行く価値:幻想と現実

大学院へ行くことを決断するには時間がかかります。なぜ次の段階の教育を受ける必要があり求めるのかをよく考える時間、それは国内か海外か次の就職市場を調べてみる時間であり、「なぜ」だけでなく「どこで」を理解するための時間でもあります。

さらに、「どこで」という問題は、大学側に受け入れ枠があるのか、資金の援助を受けられるかと大きく関っています。(多くの大学は外国人学生に学科の受け入れ人数の制限を設けています。)特定の資金援助の資格は、留学生であろうと奨学生であろうと、母国の場合でも留学先場合であっても調べるには時間がかかります。また、「どこで」という問題は、将来就職する際にも影響を及ぼすでしょう。最終的に「大学院に入る」とか「この分野を研究する」タイミングは、国内外の大学プログラムに申し込むことに影響するでしょう。なぜならば、大学側の受け入れ周期に適った場合のみ資金援助を受けられるからです。

先輩JETからのコメントには次のようなものがあります。

  • 修士または博士号を取るつもり。理由は学位があればもっとよい収入が得られることが保証されているから。
  • 家族がさらに学位を取ることを期待している。
  • 仕事を探すのが怖く、学校に戻ることでその心配を先送りする。
  • 適切な学校へ行けば卒業時に仕事を探す必要はなくなり、仕事が私の方へやってくる。
  • 博士号を取るのに何年くらいかかるのか、そういうことばかり考えている。
  • 大学院の学位がなければXXの分野や職業に参入することはできない。

博士課程は、選ぶ分野や国にもよりますが(アメリカでは平均6~8年、ヨーロッパでは2~4年)かなりの時間がかかります。それは時間を学校に費やすだけではなく、収入を失うことでもあります。(特に助手というのは自分の価値に見合った額の給料はまず支払われないものです。)従って、博士号を追求するには、真に献身的な取り組みとその分野への集中力、そして、自分のやりたい仕事はそのレベルの教育が必要なのだと強く思うことが必要です。

大学院の学位にどんな価値があるのかないのか、しっかりとみていきましょう。修士や博士を取ることは職探しに万能ではありません。人は、学歴と収入を結び付けて考えがちです。しかし、多くの専門分野において修士や博士は最低条件です。自分を目立たせるサムシングではありません。大学院をでて相応しい仕事につけない可能性も分野によってはあるのです。

大学院へ行こうとしている人は、えてして次の3つのどれかにあてはまります。

  • 1番目のタイプは、幅広い調査を行っているタイプ。大学のプログラムだけでなく、教授陣やそこから目指すことのできる職業についても調べています。自分のキャリア計画で特別な大学院教育が必要であるか、なりたい職業分野に適した学位であるかについて確固とした考えを持っています。
  • 2番目のタイプは、「今が勉強を続ける時である」と強く思っているタイプ。この人々はいつも興味の範囲である種の理解をし、焦点を合わせ、方向性を決めていく。しかし、その教育が職業へと結びつくとは限らないことを理解していない。
  • 3番目のタイプは、今のところ「はっきりとわからない」と感じているタイプ。どんな仕事につきたいかはっきりわからない人々。しかし、願わくば大学院に行っている間に何か起こり、仕事が向こうの方から偶然にやってくる。そして、神の導きのような出来事により、どんな仕事につきたいか調べたりしなくても答えが自然とでてくる、と考えるタイプである。

みなさんが、JETプログラムを終えて次の大冒険へと移行するにあたり、1番か2番であればよいと思います。もしも3番目のタイプであるならばJETプログラム終了を延期し考えなおす必要があります。

最良の決断をするために:熟慮と調査

大学院という新しいステップへとジャンプするためには、よくよく考え、以下のような難しい課題があることを考えていく必要があります。

  • ある課題・テーマ・分野について、特に情熱を持っているのか。この分野についての学術研究に携わりたいのか。本格的に勉強したら、自分流で追及する時のように面白さを感じるのか。
  • 進学すると、自分のための時間や他の興味のあること(仕事や家族)よりも、勉強を優先しなければならないが、それでもいいのか。
  • 自分が望んでおり、価値があり、必要な教育を受ける資金はあるのか。教育ローンを借りてまでやりたいことなのか。このローンを完全に返済するまで、将来見込まれる収入で何年かかるか。こういったことを十分に認識しているか。教育ローンを返済することによって延期したり諦めたりしなければならないこと(住宅購入、子供をもうけること、旅行)を知った上でも穏やかな気持ちでいられるのか。
  • このテーマを勉強するのに最適な場所はどこか。なぜ最適といえるのか。教授陣、評判、人脈、そのコース出身の有名な人物、学生に対する援助やサービス等のあらゆる要素を検討していかなければならない。
  • そのプログラムには柔軟性があるか。専攻以外のことを勉強する場合でもサポートしてもらえるのか。それとも、プログラム枠内で定められたものしか受けることができないのか。
  • この教育を受けることでどんな結果が期待できるのか。特定の職業に就けるのか。更なる教育の機会に繋がるのか。より良い専門的な職業に就くこと金銭的に成功することが期待できるのか。

進学を考慮する人は、皆疑問を持っていますが、最も重要なのは「何をするか」、「どこでするか」、「学生としてどんな支援があるか」、「結果として期待できることは何なのか」の4点です。こういった点をよくよく考えることにより、関心を持っている分野や、そのプログラムや学校に対する期待をより明確にしていくことができます。

「徹底的にしらべること」・・・自分に適切な教育を選ぶにあたって大事なキーワードです。ITが発達している現在、どこにいようとも、自分に「相応しい」学校・プログラムが見つからないわけがありません。また、進学プログラムを調べる際、「職能団体」のリストも確認しましょう。興味ある分野に関連する団体を検索したり、その団体のメンバーと連絡を取ったり、自分が見倣いたい人たちはどの学校のどのプログラムに通ったかオンラインプロフィールをチェックしてみましょう。その他、米国国際教育研究所(Institute of International Education (IIE))国際教育交換協議会(Council on International Education Exchange) といったアメリカの教育関係団体からの情報をはじめ、役立つオンラインリソースがたくさんあります。

関心のある分野のウェブサイト等の求人情報を事前に確認し、応募にはどんな資格が必要か調べることをお勧めします。つまり、この分野のプロフェッショナルとして何が求められるか、その分野におけるライバルとなる人たちがどんな学歴や資格を持っているかを把握しておけば、a)大学院に行く必要があるか、b)どのプログラムへ応募するか等について分かるでしょう。こういったことを決断した上で、出願書類等を提出し「進学」という積極的で魅力のある新たなステップに踏み出しましょう。

リーアさんの「おすすめのリンク」集(英語のみ)

PAGETOP
Copyright 2015 by the Council of Local Authorities for International Relations (CLAIR)